2月17日10:00より国土交通省(2号館)11階土地・水資源局会議室において、第1回国土審議会土地政策分科会企画部会中長期ビジョン策定検討小委員会が開催された。
議事の概要は以下の通り。
○委員の互選により、小林重敬委員が委員長に選任された。また、委員長により、肥田野登委員が委員長代理に指名された。
○今後の不動産市場等に関する実務家からのヒアリングが行われた。
○「土地政策の中長期ビジョン」のイメージ・論点整理について事務局より説明が行われ、これをもとに議論が行われた。
各委員から出された主な意見は以下のとおり。
◆PRE戦略・CRE戦略等が入っているのは歓迎したいが、資産としての観点以上に、不動産がどのように利用されていくかが重要であ
る。将来の不動産に対する需要を見通すことにより、既存のストックが抱える課題が明らかとなり、それらを克服することにより、既存
のストックが将来の都市作りの材料となっていく。
◆テーマとして広く不動産を扱うのは良いことであるが、内容は土地政策に限られたものになっていないか。住宅局・不動産業課等の
関係部局等としっかりと連携を取って欲しい。
◆情報については、リスクに関する情報が重要である。整備すべき情報内容の精査と鑑定評価の役割の検討が必要である。
◆税制があまり表に出ていないのではないか。取引を阻害している税制や相続税・固定資産税等について検討が必要である。
◆森林などは、収益性は低いが、環境面などで存在価値が高いことから、国富としての不動産の価値を最大化していく必要がある。
また、住宅価値を高めると言っても、住宅単体の価値はどうしても低下するので、エリア全体で価値を高めていく方策が必要であ
る。
◆2006年のOECDとIMFによるワークショップにおいて言及のあったように、不動産価格の変動は、国民経済に大きな影響を与えるも
のである。不動産価格のインデックスの整備などの対応が必要である。
◆収益に基づく不動産の評価は、東京を中心に定着してきたが、地方では普及しておらず、東京等に資金が集中することになってい
る。地方でも、収益に基づいて十分評価できる物件はあり、地域の金融機関が不動産を地域の資金循環に結びつけていくことが重
要である。
◆不動産をめぐる資金繰りの問題が発生しているが、長期安定的な資金を確保することは、不動産投資のみならず不動産全体にと
っても重要なことである。
◆日本の不動産市場は海外の投資家から透明性が低いと言われているが、これは、個人・年金等資金を持っている人に対してメッセ
ージが明確に届いていないからではないか。
◆都市のストック形成など不動産価値を創造していくサイクルを構築するためには、資金調達手法全体の中でJリート、私募ファンド
等についてそれぞれの位置づけが必要である。
◆土地と不動産の関係を整理する必要がある。日本では歴史的に土地と建物を分けて扱っているが、今回は、環境や景観など、必
ずしもどちらに位置づけるのか明らかでない課題が出てきており、土地と建物を分けることの是非を含めて改めて整理をして欲しい。
◆この後20年で、情報通信環境の変化等により、オフィスや小売店舗をめぐる状況は急変するのではないか。現在、当然のことと想
定していることが、そうでなくなる可能性を考慮して欲しい。
◆時代感覚を研ぎ澄ませて欲しい。人口減少は急激に進んでおり、早急な対応が必要。また、ブラウンフィールドについては、情報を
整備した上で何が出来るのかまで議論しなければならない段階であり、急がなければならない課題である。
◆不動産単体の問題と地域の問題がある。例えば投資対象の不動産など、不動産単体の問題と地域の問題には相矛盾する側面
もあることに留意して欲しい。
◆経済学も進展してきており、土地の価格はコントロールできないという考え方が示されてきている。その上で我々に何が出来るのかを
議論すべきである。
◆国民の不動産に対する需要の中身をきちんと議論して欲しい。国民生活を豊かにする不動産の価値というのは、誰のためのどのよ
うな価値なのか考える必要がある。
【問い合わせ先】
土地・水資源局土地政策課 企画専門官 藤川 (内線30624)
政策第一係 久保、藤本 ( 〃 30635、30636)
TEL(代)03-5253-8111 (直通)03-5253-8290