平成20年11月12日
国土交通省では、世田谷区内の建築物について、確認図書と竣工図書※が整合しておらず、耐震性が不足するのではないかとの情報提供を受け、特定行政庁である東京都に通報し、東京都において調査を進めてきました。
今般、東京都より耐震性不足が判明したとの報告がありましたので、下記のとおり公表します。
なお、東京都の検証では確認図書の通りに施工されていれば建築基準法違反はなかったと見込まれますが、今後、東京都において精査を行う予定です。
※竣工図書:一般に建物完成時に建築主等へ引き渡されているもので、建築基準法に定められた図書ではない。
1.物件概要
バーリントンハウス馬事公苑 | |
地名地番 |
東京都世田谷区上用賀1-22-20 |
建築主 |
ラディアホールディングス(株) (グッドウィル・グループ(株)から社名変更) |
設計者 |
(株)コムスン一級建築士事務所 |
構造設計 |
(株)構造計画研究所 ((株)建築企画設計社及び(株)観光企画設計社を経由して受託) |
工事監理者 |
(株)建築企画設計社 |
施工者 |
東急建設(株)東京支店 |
確認年月日 |
平成16年12月21日 |
完了検査済証 年月日 |
平成18年5月12日 |
確認及び検査を 行った機関 |
(財)日本建築設備・昇降機センター |
特定行政庁 |
東京都 |
構造/階数 |
鉄筋コンクリート造/地上7階・地下1階 (高さ 約24m) |
延べ面積 |
約18,000㎡ ※地上部分は2棟から構成 |
用途 |
有料老人ホーム |
現況 |
入居中 |
2.経緯
(1) 3月5日に、国土交通省に対し、上記の有料老人ホームについて確認図書と竣工図書が整合しておらず、耐震性が不足するのではないかとの通報がありました。これを受けて、国土交通省から所在地の特定行政庁である東京都に対し通報を行い、事実関係の調査を要請しました。
(2) 東京都において、物件の耐震性の検証及び手続違反等の有無について調査を行いました。
(3) 11月12日、東京都から国土交通省に対し、1の物件の耐震性の検証等の結果、確認図書どおりに施工されておらず、また、建築基準法の基準(耐震規定)に適合していないことが判明したとの報告がありました。
3.不整合の内容及び耐震性の状況
(1)確認図書と現況の建築物との不整合
各階の高さ、各室の配置、骨組みの位置など、基本的な建築設計のレベルでは概ね一致しているものの、柱、はり、床等の各部材設計のレベルでは、確認図書と多数の不整合がありました。
(2) 耐震性の検証結果
・現況の建築物の保有水平耐力比(Qu/Qun)の最小値は下記の通りです。
A棟 0.74
B棟 ペントハウス以外 1.0以上
ペントハウス部分 0.68
4.今後の対応
(1) 東京都では、今後、構造設計及び構造関係の工事監理に係る業務を受託した(株)構造計画研究所の関与した物件について、調査を行い、関与物件リストを作成する予定です。
(2) 国土交通省としては、東京都からの関与物件リストの提供を待って、サンプル調査を行うよう関係行政庁に依頼する予定です。
(3) 有料老人ホームの入居者保護については、厚生労働省の所管のもと東京都が指導しており、国土交通省としても、厚生労働省及び東京都へ情報提供を行うなど、密接に連携して対応していきます。
(4) 国土交通省としては、耐震性についての国民の不安を解消するため、今後とも、関与物件調査の促進、一級建築士の処分等、関係行政庁と協力して厳正な措置を講じる予定です。
(参考)東京都記者発表資料(PDF形式)