平成20年6月19日
概要
・ 国際海運からの温室効果ガス排出削減に向け、新造船のCO2排出設計指標の策定、GHG削減メカニズムの開発等国際海事機関(IMO)での検討を促進するため、6月23日からオスロにおいてIMO 海洋環境保護委員会(MEPC)GHG中間会合が開催されます。
・ 国際船舶に対する燃料油課金、排出量取引等経済的手法を活用したGHG排出削減について、(財)日本海事センターの協力の下で検討を開始します。
気候変動枠組条約京都議定書は、その対象を附属書Iに掲げる先進国に限定しており、国際海運については、第2条第2項において、国際航空とともに専門の国際機関(IMO及び国際民間航空機関(ICAO))を通じた作業によって、GHG排出量の抑制を追及することとされています。
現在、IMOにおいては、国際海運からのGHG削減に向け、技術的な手法(船舶のエネルギー効率の改善、代替エネルギーの活用等)、運航的な手法(減速航行、最適航路選択等)、経済的な手法(燃料油課金、排出量取引等)についての検討が進められており、本年4月に開催された第57回海洋環境保護委員会(MEPC57)において、我が国からも新造船の燃費効率を評価する指標(実燃費指標)を策定することを提案しました。
MEPC57での審議の結果、国際海運からのGHG排出削減に向けたIMOでの検討を促進するため、GHG中間会合を開催し、その結果を本年10月に開催予定のMEPC58に報告することとなりました。中間会合の概要は次のとおり。
(1)開催日及び場所
日 時:平成20年6月23日~27日
場 所:ノルウェー王国オスロ市
(2)主な議題
[1] 新造船用の強制CO2排出設計指標の作成(我が国提案の実燃費指標もここに含まれます。)
[2] 現行のCO2排出運航指標の算定ガイドラインの見直し
・ 効率の観点からのCO2ベースライン算定方法の開発
・ CO2排出運航指標の目的の検討
[3] GHG削減メカニズムの開発
・ 国際的な燃料油課金
・ 排出量取引(ETS)、クリーン開発メカニズム(CDM)
・ ベストプラクティス(最良実行方法)
[4] 削減可能レベル、制度設計上及び実行上の問点、費用対効果、キャパシティビルディング等についての検討
(3)我が国からの出席者
染矢大臣官房技術審議官、大坪安全基準課国際基準調整官 他
(参考)
● CO2排出設計指標: 船舶の設計・建造段階で、船舶の仕様に基づいて、トン・マイルあたりのCO2排出量を事前評価して、各船に付与するもの。各船には一つの指標しかない。
● CO2排出運航指標: 船舶の運航中に消費した燃料消費量からトン・マイルあたりのCO2排出量を計算して得られるもの。各船についても、運航中に変動する。
IMOで検討が進められている国際海運からのGHG排出削減対策のうち、技術的手法等については、国内において、既に(独)海上技術安全研究所、(財)船舶技術研究協会等において検討が進められておりますが、このたび、燃料油課金、排出量取引等の経済的手法について、実現可能な制度設計、我が国海運業界に与える影響等を分析するため、(財)日本海事センターに「環境規制問題検討会」を設置し、検討を開始します。
(1)第1回検討会開催日及び場所
日 時:平成20年6月20日(金)13:30~15:30
場 所:(財)日本海事センター・企画研究部会議室(海運ビル9階)
(2)議題案
[1] 本検討会の活動内容について
[2] 国際海運のGHG排出削減に関する最近の動きについて
[3] 国際海運のGHG排出削減に係わる経済的手法及び本検討会における検討・分析等について
[4] その他
(3)検討会メンバー
座 長 杉山 武彦 一橋大学学長
委 員 横山 彰 中央大学大学院総合政策学部学部長
〃 岡田 啓 武蔵工業大学環境情報学部環境情報学科講師
〃 味水 佑毅 高崎経済大学地域政策学部観光政策学科専任講師
〃 新井 真 川崎汽船(株)経営企画グループグループ長補佐
〃 左光 真啓 日本郵船(株)環境特命プロジェクト事務局事務局長
〃 中島 孝 (株)商船三井経営企画部部長代理
〃 半田 收 (社)日本船主協会常務理事
〃 大谷 雅実 国土交通省海事局舶用工業課舟艇室長
(GHG対策プロジェクトチーム長)
〃 岡西 康博 国土交通省海事局外航課長
〃 安藤 昇 国土交通省海事局安全基準課長
(4)その他
冒頭の挨拶までカメラ撮り等の取材が可能ですが、それ以降の会議は非公開とさせていただきますので、ご承知願います。結果については、ホームページ等で後日公表予定です。