平成21年7月21日
内航海運・内航フェリーは、国内貨物輸送量の4割、産業基礎物資の8割を担う我が国の経済活動・国民生活にとって必要不可欠な輸送・交通手段ですが、その経営をとりまく環境は大きく変化しており、企業体質の改善やサービスの向上が強く求められています。また、世界的な地球環境問題等の高まりの中、CO2排出量がトラックの1/4という優れた環境特性をもつ海運に対する社会的要請も、これまでになく強くなっています。
このため、「内航海運・内航フェリーの活性化・グリーン化」に関し、海運、船舶、船員、港湾の各分野にわたる中長期的な取り組みについての基本的な考え方と、今後の具体的な取り組み方策の方向性について、学識経験者、内航海運関係者、行政のみならず、経済団体やフォワーダーの関係者の参画のもと、本年4月から集中的に検討を進め、今般、その検討の成果を中間的に取りまとめました(別添参照)。
そのポイントは、以下の3点の基本的考え方の下で関係者が様々な取り組みを展開し、国もこれを支援していくというもの。
[1] 環境産業としての優位性を発揮し、低炭素社会に対応した選択される内航海運の実現
ポスト京都議定書をめぐる地球環境問題の動向を見据えて、内航海運のグリーン化を戦略的に展開
◆省エネ内航船への代替建造促進のため、税制や共有建造制度等の支援措置の拡充を検討
◆省エネ運航の促進(船舶の大型化による効率改善等)のため、省エネ診断の実施やガイドラインの整備
◆CO2排出削減の「見える化」に向け、省エネ法の原単位見直し、エコ格付け、「海の10モード」の適用
[2] 安全・効率的かつ持続可能な業態に向けた変革
「二つの高齢化(船舶の老朽化、船員の高齢化)」に対応しつつ、時代のニーズに適応した競争力ある産業へ脱皮を目指す
◆環境負荷低減、グループ化等を支援する金利導入による政策誘導ツールとして、共有建造制度を改革
◆船舶管理会社を通じたビジネスモデル確立を支援し、グループ化を推進
◆短距離フェリー等の規制のあり方の検討、航行区域やトン数区分の見直しなど規制緩和を推進
◆内航船員の確保・育成、船舶の標準化など技術の開発・普及、安全対策の積極的推進
[3] さらなる競争力の強化に向け、国民や経済界も含め幅広い関係者との連携・協働
◆インダストリアル・キャリアについて、荷主、オペレーター、オーナーの協働による産業構造の改善
◆長距離フェリー・RORO船・コンテナ船について、荷主・フォワーダーとの連携により、モーダルシフトを推進
◆中短距離フェリーについて、地方自治体との連携を強化し、地域公共交通としての活性化・再生
◆事業者の運航合理化や新たなビジネスモデルの確立・サービス向上等に対する支援
◆港湾政策との連携のもと、ETCシステムや自動係留装置の導入、静脈物流のための環境整備等を推進