平成27年9月17日
急速に経済成長を遂げ、我が国にとって重要なパートナーであるインドと海運における政策課題について
意見交換を行い、両国の海運当局・関係者間の連携を強化するため、第3回海運政策フォーラムを開催しました。
今回は約40名の参加を得て、活発な議論が行われました。会議の結果概要は以下のとおりです。
平成27年9月10日(木)10:00~17:00
国土交通省(中央合同庁舎2号館16階国際会議室)
・海事当局
(日本側) 国土交通省 坂下 海事局長 ほか
(インド側) 海運省 ミトラ 海運局長 ほか
・民間関係者
(日本側)(公財)日本海事センター、(一社)日本船主協会、(一財)日本海事協会 ほか
(インド側) 内陸水運公社、コーチン造船所 ほか
(1)シップリサイクル
日本側より、シップリサイクル条約(香港条約)の早期発効のためには、世界最大の船舶の解体(以下、シップリサイクル)国であるインドの締結が不可欠であることを指摘するとともに、
インドにおいて進められているリサイクル施設の改善を歓迎し、こうした活動が国際的に正しく理解されるよう、国際セミナーの開催等、日印共同で積極的に情報発信を行うことを提案した。
インド側からは、国内で船舶解体規則を2013年に策定し、安全・環境対策等の改善が進められているとの紹介があった。
また、インド側は、リサイクル施設改善のため日本からの支援に期待を表明するとともに、日本提案の国際的な情報発信の必要性について同意した。
両国は、インドのシップリサイクル施設の改善のため、今後も意見交換を行い、国際的な情報発信を共同で行うことに合意した。
(参考)背景
シップリサイクルは、主にインド、バングラデシュ等の開発途上国を中心に実施されており、シップリサイクル施設における労働者の死傷事故や環境汚染が国際的に問題視されてきた。
この状況を改善するため、2009年5月に、国際海事機関(IMO)において、シップリサイクル条約が採択された。条約の発効には、締約国の解体能力が要件の一つとして含まれており、早期発効のためには主要リサイクル国であるインドの締結が不可欠である。このため、我が国は、インドと継続的に意見交換を行い、リサイクル施設の改善等に関する協力の検討を進めている。
一方、欧州連合(EU)は、2013年12月、シップリサイクル条約の早期発効及び同条約の上乗せ規制等のため、シップリサイクルに関するEU域内法を制定した。EU域内法は、EU加盟国籍の船舶についてはEUが承認する施設において解体することを要求している。インド等の南アジアで主流のビーチング方式(シップリサイクルの一手法)については、シップリサイクル条約の上乗せ規制によりEUによる承認の過程で排除される可能性があること、これによりビーチング方式排除が非EU籍船を含めて実質的な国際スタンダードとなりえることが懸念されている。
(2)IMO関連課題における協力
日本側より、船舶バラスト水規制管理条約の早期締結及び燃費報告制度の導入に向けた協力依頼を行った。
インド側より、船舶バラスト水規制管理条約に関しては、条約締結に向けて国内法の審議中である旨の発言があった。審議中である燃費報告制度に関しては、先進国と途上国の間での意見の隔たりをなくすため、IMOにおいて今後更なる議論が必要とした。
(3)両国の海運政策
日本側から、我が国の国際海上輸送の現状の紹介を行うとともに、インドの主要港における大型コンテナ船の利用が可能な大深水ターミナルの整備についての要望を伝えた。
インド側から、要望のあった主要港における大深水ターミナルの整備については計画を策定済みであるとの回答があった。また、国内における道路混雑が深刻化しており、
これを緩和する上で必要な輸送に係る自動車の国内輸送船舶が不足しているため、本邦船社の協力の可能性について質問があった。
(4)その他
インド側から、現在整備中の港湾等の説明を受け、意見交換を行った。インド洋における海賊対策に関し、ハイリスクエリアの範囲について意見交換を行った。
第3回日印海運政策フォーラムの開催結果について(PDF形式)
PDF形式のファイルをご覧いただくためには、Adobe Acrobat Readerが必要です。
左のアイコンをクリックしてAdobe Acrobat Readerをダウンロードしてください(無償)。
Acrobat Readerをダウンロードしても、PDFファイルが正常に表示されない場合はこちらをご覧ください。