平成20年4月1日
3月27~28日に、東京において、海運先進18カ国当局間会議(CSG会議)を開催致しました。
本会議は、日本において37年ぶりに開催され、海運先進国が連携して自由な国際海運市場の形成を促進すべきとの共通の認識のもと、米国での100%コンテナスキャニング規制やインドネシアでのターミナルハンドリングチャージ(THC)規制といった米国や開発途上国による一方的な海運規制、国際海運におけるGHG排出削減対策、EUにおける外航海運の独禁法適用除外廃止等、国際海運にかかる幅広い課題につき活発な議論がなされました。
結果概要は下記の通りです。
記
・地球温暖化対策に向けた船舶からの温室効果ガス(GHG)排出削減について
・米国による国際海運に関する保安規制について
・米国以外の国による海運関連規制について
・外航海運における独禁法適用除外制度について
・WTOドーハラウンド(海運サービス分野)について
・マラッカ・シンガポール海峡(マ・シ海峡)航行安全対策について
・CSGの今後の取り組みについて
・国際海運からのGHG排出削減につき、我が国から、各国が連携して国際海事機関(IMO)での議論を促進していくべきであるとの意見を述べるとともに、IMO第57回海洋環境保護委員会(MEPC57、3月31日~4月4日)にて日本が提案している実燃費指標の紹介を行った。
・100%コンテナスキャニング規制や、TWIC(運輸労働者身分証明書制度)等、米国による独自の保安規制に対し懸念が表明されるとともに、今年5月に開催される米国との政策対話においてさらに議論を行うこととなった。
・インドネシアのターミナルハンドリングチャージ(THC)規制やベトナムの貨物税等、開発途上国による規制に対して、自由な外航海運を阻害するものとして強い懸念が表明されるとともに、今後何らかの対応をとるべく、メンバー間で調整していくこととなった。
・外航海運における独禁法適用除外制度につき、EUの適用除外廃止後の世界の海運市況への影響が不透明であるという認識が示されるとともに、今後の状況を引き続き注視していくこととなった。
・WTOの海運サービス分野につき、今回のドーハラウンド交渉にて最終合意し、当該分野にGATSを全面適用させるべきである旨再確認した。
・マ・シ海峡の航行安全対策について、シンガポール及び我が国より、CSGメンバー国による貢献への要請がなされた。
・インド、中国、ロシアといった国が今後対話をすべき相手として重要であるとの再認識がなされた。また、IMO等国際機関での議題についても、地球温暖化問題等、国際海運に大きな影響を及ぼすものについては、CSG内で議論していくこととなった。
・今後の予定として、CSGと米国との政策対話が今年5月20~21日に米国ワシントンDCにて、次のCSG会合が2009年にカナダ・バンクーバーにて開催されることが決定された。
(参考)CSG(Consultative Shipping Group)会議
CSGは、海運自由の原則を目的としたOECD共通海運原則を順守している国々の政策対話のためのグループであり、1962年の発足当時より、米国の国際海運に対する規制問題に如何に対処するかを検討してきた。また、必要に応じ、特定国の国際海運に関する規制政策に対する申し入れや対話を通じて、自由で公正な競争条件の確立に向けた取り組みを行ってきた(日本は1963年より参加)。
近年は、環境、安全、保安等海運問題に関する幅広い課題についても加盟国間で政策対話を行っている。
参加国は、欧州を中心とした14カ国であったが、前回会合より議長国が英国からデンマークに移行するとともに、新たに4ヶ国(ポーランド、シンガポール、韓国、カナダ)が加盟し、18ヶ国体制になっている。
前回の会議と主な議題
・ 2007年9月 (デンマーク・コペンハーゲン)
〔議長国の移行、新規加盟国の承認、米国のセキュリティ規制、マ・シ海峡における航行安全援助、独禁法の適用除外、等〕
柴田国土交通審議官による冒頭スピーチ
ハマー・ハンセン議長(右から4人目)による議事進行
CSGメンバーによる集合写真