平成23年1月27日
アジアのみならず世界の外航海運マーケットにおける主要国である日本と中国が、外航海運における政策課題を議論し情報交換を行うことにより、両国の関係強化を図ることを目的とした官民合同の「日中海運政策フォーラム」の第3回会合が以下のとおり開催されました。
記
1.日 時:平成23年1月26日(水)
2.場 所:国土交通省
3.出席者:
海事当局
日本側:井手 憲文 国土交通省海事局長、福本 啓二 海事局次長 他
中国側:智 广路 交通運輸部水運局副局長 他
民間関係者
日本側:(社)日本船主協会、外航海運事業者 他
中国側:中国船主協会、外航海運事業者
4.主要議題の結果
(1)外航海運市況の動向
日本側より、急速な回復を示している昨今の世界の海運市況の動向について説明を行った。中国側より、リーマンショック直後に比べると、世界経済は回復基調にあるが、全面的な回復までには、まだ長い道のりが残っていること、各国において貿易に関し保護主義的な政策を導入する兆しがあり、注意が必要である旨コメントがあった。
(2)海運政策
日本側より、国土交通省の海洋分野における成長戦略の概要とトン数標準税制の概要について説明を行った。中国側より、トン数標準税制の導入の可否を検討するため、現在、各国のトン数標準税制の概要について研究を行っているが、まだ導入の目処は立っていないとのコメントがあった。
(3)WTO海運サービス交渉
WTOドーハラウンドについては、今後、海運サービス交渉についても、今年中の終結に向けて、交渉がより一層加速化するとの認識で一致し、今後とも海運自由化先進国会合(海運フレンズ)での協力に合意した。
(4)中国におけるコンテナ運賃届出制度
中国側より、コンテナ運賃届出制度について説明があり、これまで特に日中航路において顕著であったゼロ運賃、マイナス運賃といった状況の正常化に一定の効果があったこと、昨年秋に届出対象者を非船舶運航業者(NVOCC)にも拡大したこと等について説明があり、今後、海上運賃やサービスの安定化のため政策等について両国間で情報交換を行っていくことを確認した。
(5)外航海運に係る独占禁止法適用除外制度
日中両国より、外航海運に係る独占禁止法の適用除外制度について説明がなされた。中国側より、外航海運サービスの安定的かつ効率的な供給のため、当該適用除外制度を堅持していく必要がある旨コメントがあった。
(6)海賊対策
日中両国より、現在、ソマリア沖・アデン湾で実施している海賊対策について紹介を行い、両国政府による両国民間船舶の護衛に関し、相互に感謝の意を表明した。
(7)シップリサイクル
日本側より、2009年5月に採択されたシップリサイクル条約の早期発効のためには主要リサイクル国である中国による批准が不可欠であること、中国政府は同条約批准に向け、関連国内法を整備する等、条約の発効に向けて積極的に取り組んでおり、日本としても高く評価している旨発言した。
中国側より、シップリサイクルに係る諸問題を解決するためには同条約の早期発効が必要であり、中国政府としても努力を行っていきたいとの発言があり、シップリサイクルに関し、今後も日中両国が協力していくことが確認された。
(8)日中フェリー航路開設について
日本側より、日本の民間事業者が計画している長崎~上海間のフェリー航路開設計画について紹介し、航路開設の手続きについては、従来どおり民間による協議を経た上で、双方の当局に届出を行うことを確認するとともに、申請が行われた場合、早期実現への協力を求めた。