平成30年11月6日
本日(11月6日)、我が国は、韓国に対し、同国における自国造船業に対する大規模金融支援等の公的助成について、WTO協定に基づく紛争解決手続を開始しました。 |
1.概要
造船分野における世界的な供給過剰問題が長期化する中、近年、韓国政府は政府系金融機関を通じ、自国造船業の受注拡大のための大規模な公的助成(経営難に陥った大宇造船海洋の救済のための大規模な金融支援、赤字受注を容認するような前受金返還保証の発給等)を行っています。
我が国は、こうした公的助成は市場を歪曲し供給過剰問題の早期解決を阻害する恐れがあるものとして、累次にわたり問題を指摘し、また、本年10月には局長級の協議により改めて早期撤廃を求めました。しかしながら、韓国政府はこれらの措置は政府の介入によるものではなく、また市場歪曲性も無いとするこれまでの説明を繰り返しており、措置の撤廃には至っておりません。
我が国は、韓国による自国造船業に対するこれらの公的助成はWTO補助金協定に違反する疑いが強いと考えています。
そのため、我が国は、問題の解決に向け、WTO協定に基づく協議要請を行いました。
2.今後の予定
具体的な協議日程については、今後、韓国と調整していく予定です。
【参考】
(1)WTO協定に基づく協議とは
WTO協定においては、問題となっている措置がWTO協定に違反するか否かについて、まずは合意により問題を解決することが奨励されており、具体的にはWTOの小委員会(パネル。第一審に相当します。)への付託に先立ち協議を行うことが義務付けられています。
(2)WTO補助金協定とは
WTO補助金協定では、政府又は公的機関が行う資金面での貢献(贈与、貸付け、出資等を含む)等について規律するため、以下の補助金を廃止勧告の対象として規定しています。
・ 輸出が行われることに基づいて交付されるもの
・ 輸入物品よりも国産物品を優先して使用することに基づいて交付されるもの
・ 他の加盟国の利益に対する著しい害等の悪影響を及ぼすもの
(3)韓国の自国造船業に対する公的支援措置に関する日韓協議(局長級)について
造船業における供給能力過剰問題の早期解決を目的として、市場を歪曲するおそれのある公的助成の問題について議論するため、韓国産業通商資源部(MOTIE)との局長級協議を実施しました。
結果の概要については、以下のURLでご確認いただけます。
・韓国の自国造船業に対する公的支援措置の早期撤廃を要求―日韓協議(局長級)を実施―
http://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji05_hh_000162.html