令和5年4月4日
昨年4月に知床で発生した遊覧船事故に関し、同年12月に運輸安全委員会から公表された経過報告において国土交通大臣へ示された意見を踏まえ、ハッチカバーの確実な閉鎖等に関する点検等を実施しました。また、小型旅客船の隔壁の水密化等について検討を行い、更なる安全性確保のための対策をとりまとめました。 |
1.船首甲板開口部(ハッチカバー等)・避難港の点検・確認
運輸安全委員会から国土交通大臣に対し、[1]小型旅客船の船首甲板開口部が確実に閉鎖され浸水のおそ
れがないことを点検すること、[2]避難港の活用等について再確認することとの意見が示されました。
これを受け、国土交通省では、昨年12月16日から今年3月15日までの間、限定沿海以遠を航行区域
とする小型旅客船を運航する全国の1,646事業者に対し、ハッチカバー等の閉鎖装置の作動状況・避難
港の活用状況等について自主点検を実施するよう指導しました。
点検を実施した事業者のうち、1,565者については、特段の問題は確認されていません。29者につ
いては、自らがハッチカバー等の閉鎖装置の作動状況を確認して是正し、7者については、国により不備が
確認され、是正を指示・確認しております (添付資料参照)。また、3者については、過去運航中にハッチ
カバー等のフタが開いたことがあり、改めて発航前検査の徹底を指導しております。残る42者については、
冬季休業等により現在一時的に運航を中止しており、今後、営業再開前までに国による確認を実施し、不備
を確認した場合には是正を指示いたします。
2.小型旅客船の隔壁の水密化等の検討
運輸安全委員会から国土交通大臣に対し、「安全性を更に高める観点から、小型旅客船の隔壁の水密化に関
し、検討すること。」との意見が示されました。
これを受け、国土交通省では、学識経験者や造船技術者等からなる検討会を設置し、「隔壁の水密化」等に
ついて検討を重ね、今般、小型旅客船の更なる安全性確保のための対策をとりまとめました。
検討会では、小型旅客船の実際の事故件数に基づく座礁等の発生確率や数値計算による波の打ち込みの発生
確率推定等を基に沈没に至るリスクを算出し、隔壁の設置等の各対策を講じた場合の沈没リスク低減効果につ
いての検証を行いました。
その結果、限定沿海以遠を航行区域とする小型旅客船について、
「水密全通甲板の設置」及び「いずれの1区画に浸水しても沈没しないように水密隔壁の設置」を義務付けます。
また、当該安全対策を実施することが困難な船舶(既存船や5トン未満の小型船)に対しては、代替措置として
「浸水警報装置及び排水設備の設置」又は「不沈性の確保(全没水しないこと)」を義務付けます。
今後、これらの安全対策を実施するための詳細を検討して参ります。
なお、4月4日(火)15時から、本件について事務局より報道関係者を対象としたブリーフィングを行います。
参加を希望される方は、ブリーフィング開始時間までに国土交通省(中央合同庁舎第3号館)5階会見室にお集
まりください。
<参考>
国土交通省プレスリリース「小型旅客船のハッチカバーの確実な閉鎖等を指導します。」
(令和4年12月16日)
https://www.mlit.go.jp/report/press/kaiji06_hh_000279.html