令和5年5月31日
令和5年5月23日(火)から25日(木)まで国際海事機関本部(ロンドン)で、国際油濁補償基金(IOPCF)第27回臨時総会等が開催されました。
今次会合では、基金に関連するタンカー油濁事故の進捗の報告及び議論等が行われました。 |
国際油濁補償基金(以下「基金」)とは、タンカーの事故により巨額の油濁損害が発生した
場合に、被害者に対して補償を行うために設立された国際機関(本部:ロンドン)です。基
金は、タンカーで運ばれた油を受け取る事業者(石油元売事業者等)が負担する拠出金によ
り運営されており、日本は、インドに次ぐ2番目の拠出国となっています。
今次会合には、我が国から国土交通省、在英国日本国大使館、学識経験者、石油海事協会、
(一社)日本船主協会、(公財)日本海事センター等の関係者が出席し、我が国意見の反映
に努めました。
なお、今次会合は対面式で開催され、58か国が参加し、それぞれの議題で積極的な審議が
行われました。
主な結果(詳細は別紙をご参照ください)
1.基金に関連する事故
Bow Jubail号事案など、基金に関連する複数の油濁事故について、進捗の報告及び議論が
行われました。我が国から事務局に対して、Bow Jubail号事案を受けて、類似の事案が起き
ることを避けるための標準手続の策定の検討の提案等を行いました。
2.基金のリスク増加への対処
2022年12月より、一定価格以下のロシア産原油等について、P&I保険の付保を認めるオイ
ル・プライス・キャップ制度が、日本を含むG7、EUにより開始されています。また、原油の
タンカー輸送に関して、位置情報の改ざんや国際海域における船舶間の危険な原油積み替えオ
ペレーションにより、原油流出のリスクが高まる事態が報告されており、基金の大きな懸念と
なっています。
我が国は、オイル・プライス・キャップ制度下における十分なP&I保険の付保の重要性を指
摘するとともに、改めて加盟国に対して安全な海上輸送の確保を働きかけました。