令和4年12月9日
令和4年8月26日付けで四国旅客鉄道株式会社(以下「JR四国」)より申請のあった、旅客運賃の上限変更については、12月1日に運輸審議会より「認可することが適当である」旨、答申が出されましたので、本日、国土交通省として認可いたしました。 |
鉄道の旅客の運賃は、鉄道事業法第16条第1項に基づき、その上限を定め、国土交通大臣の認可を
受けなければならないとされています。認可にあたっては、同法16条第2項に基づき、能率的な経営
の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査することとさ
れており、また、同法第64条の2に基づき、運輸審議会に諮らなければならないこととされています
(軌道法においても同様の取り扱いを実施)。
令和4年8月26日付けでJR四国より申請のあった、旅客運賃の上限変更について、運輸審議会に
諮問したところ、12月1日に「認可することが適当である」旨の答申が出されました。これを受け、
本日、国土交通省として申請どおり認可をいたしました。
■運賃の改定概要
○ JR四国は営業損益で▲202億円の赤字、経営安定基金運用益を充てても、なお、▲33億円もの
経常赤字となっている等、極めて厳しい経営状況である。(令和3年度決算)
○ 一方、列車運行の安全・安定輸送の確保のために必要な安全対策や運転保安に直結する設備の老朽取
替え等の安全投資や修繕費の確保が必須な状況にある。
○ また、沿線人口の減少に加え、テレワークやオンライン会議等の新しい生活様式の定着による鉄道運
輸収入の不可逆的な減少の見込み。
○ 今後、鉄道ネットワークの維持、輸送サービス水準の維持など地域における基幹的公共輸送機関とし
ての役割を果たしていくために、JR四国の徹底した経営努力を前提に、国からの支援、地域と一体と
なった利用促進に向けた取り組みのほか、利用者への一部負担を求めるべく、令和5年春に20億円規
模の運賃改定を行うもの。
○ 今回の認可では、令和10年3月31日までの期限を設け、運賃改定後の令和5年度から3年間(令
和7年度まで)の総収入と総括原価の実績を確認することとする。
(変更内容)
○普通旅客運賃
・100㎞まで:
従来の「対キロ制運賃(賃率×キロ数)」から「対キロ区間制運賃」に変更。
・101㎞~200㎞まで:
引き続き、「対キロ制運賃」とし、適用する賃率を16.20円⇒19.20円に改定。
・201㎞以上:
現行の「対キロ制運賃」とするとともに賃率を据置き。
○定期旅客運賃
(通勤定期旅客運賃)
普通運賃の値上げ反映のほか現行の割引率を改定、6箇月の割引率(1箇月定期金額×6の
約15%引き)を約10%に改定。
(通学定期旅客運賃)
普通運賃の値上げ反映のほか現行の割引率を改定。
○実施予定年月日:令和5年春
○改定率
※定期運賃の割引率(1箇月)
|
改定率 |
普通運賃 |
12.5% |
定期運賃 |
25.6% |
料 金 |
5.1% |
全 体 |
12.8% |
通勤48.0%(現行52.9%)
通学73.2%(現行74.7%)
○収入実績及び推定 (単位:百万円)
|
令和3年度
(実績) |
令和5~7年度推定
(3年間平均) |
現 行 |
改 定 |
収 入 |
30, 481 |
36,645 |
38,492 |
原 価 |
38,545 |
40,020 |
40,020 |
差引損益 |
▲8,064 |
▲3,375 |
▲1,528 |
収支率 |
79.1% |
91.6% |
96.2% |
<参考>
○鉄道事業法(昭和61年法律第92号)
(旅客の運賃及び料金)
第十六条 鉄道運送事業者は、旅客の運賃及び国土交通省令で定める旅客の料金(以下「旅客運賃等」
という。)の上限を定 め、国土交通大臣の認可を受けなければならない。これを変更しよ
うとするときも、同様とする。
2 国土交通大臣は、前項の認可をしようとするときは、能率的な経営の下における適正な原価に適
正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して、これをしなければならない。
3~5 (略)
(運輸審議会への諮問)
第六十四条の二 国土交通大臣は、次に掲げる処分等をしようとするときは、運輸審議会に諮らなけれ
ばならない。
一 第十六条第一項の規定による旅客運賃等の上限の認可
二~五 (略)