平成24年5月25日
平成23年3月11日に発生した東日本大震災後の電力需給逼迫を受け、同年7月以降、首都圏の一部企業・団体においては、始業時間を早める、休日を変更するなどといった勤務形態の変更等の節電対策が図られ、これらは鉄道輸送にも少なからず影響を与えたことが推測されます。
このようなことから、本調査では一定エリア内における昨年夏の企業・団体の勤務形態の変更状況の把握と、それが鉄道輸送に与えた影響について分析を行いました。
1.昨年の節電対策等が鉄道輸送へ与えた影響
○昨年の夏は、多くの企業でサマータイム等の勤務時間の変更が行われた。
○鉄道輸送についても、ピークの前後に需要がシフトしたことが明らかになった。
○結果として、東京、横浜エリアにアクセスする鉄道の最混雑時間帯の混雑率が、0.2~7.8%低下したものと推計される。
2.鉄道事業者が行った節電対策
○昨年夏、首都圏の各鉄道事業者は、駅・車両の節電、運行本数の減便等の対策を行い、15%の節電目標を達成した。
○一方で、利用者のアンケートによればエスカレータの停止、空調の温度設定の高さ等に対する高い不満があった。
3.まとめと今後の課題
○サマータイムは節電のみならず、鉄道の混雑緩和にも貢献した。
○一方で、鉄道における節電には、利用者の不満も伴った。
○鉄道の電力消費は、朝夕にピークを迎え、全体の電力消費が昼にピークを迎えるのとはずれがあること、
少なくとも首都圏では鉄道による通勤・通学輸送は社会・経済活動の根幹をなしており、その機能を低下させることは
社会にとってダメージが大きいこと等を勘案し、朝夕の鉄道輸送サービスは平常時と遜色ないレベルを出来るだけ
確保することが望ましいものと考えられる。
○また、今後の電力供給の制約、低炭素社会実現の必要性等に鑑みると、出来るだけ利用者に不便さを感じさせずに
省エネ・低炭素化を進めるための、鉄道事業者と国が一体となった取り組みが求められる。
今後も電力需給の逼迫が続く可能性があることから、輸送サービスの水準を安定させて利用者の利便に資するため、地球環境にやさしい鉄道分野においても、一層の省エネ・低炭素化の推進に向けて取り組んでまいります。
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