平成20年8月25日
「2008年ストックホルム世界水週間(別添1参照)」が8月18日(月)~22日(金)に、
スウェーデン・ストックホルムで開催されました。
国土交通省はこの機会を活用し、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)等と共同で
セミナーを開催し、第5回世界水フォーラムに向けて、国際目標となっている統合的水資源
管理(別添2参照)を促進するガイドラインを作成することを発表するとともに、セミナー参加
者等とガイドラインの方向性などについて意見交換を行いましたので、概要をお知らせします。
○国土交通省がユネスコ等と共催したセミナーの概要について
1.表 題:統合的河川流域管理(河川流域からのアプローチによる統合的水資源管理)
―第5回世界水フォーラムに向けて―
2.日 時:8月21日(木)13:30~17:00
3.主 催:ユネスコ、日本国政府(国土交通省)、トルコ政府、統合的水資源管理国際
センター(米国)
4.概 要:
(1)ガイドラインの作成プロセスについて、以下の方向性が確認された
○統合的水資源管理の達成には、河川流域単位で持続的な水資源管理を目指す
ことが重要である。そのため、統合的水資源管理を河川流域の視点から実務的に推
進するガイドラインを、第5回世界水フォーラム(来年3月にイスタンブールで開催)に向
けて作成する。
○上記ガイドラインは、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)が第5回世界水フォ
ーラムで発表予定の水に関する報告書「世界水開発報告書(World Water
Development Report)」の関連文書として位置づける。
○ガイドライン作成後も、適宜ガイドラインを充実させつつ、ガイドラインを継続的に活用し、
統合的水資源管理の達成に向けて取り組みを進めていく。
(2)ガイドラインを作成するにあたって、以下の視点が重要であることが共有された。
○持続的な水資源管理の実現のためには、流域の経済発展状況、土地利用状況を踏ま
えつつ、早急にではなく、段階的に進めることが重要。
○統合的水資源管理の実現には、大規模な洪水管理が重要な場合がある。バングラディ
シュでは、ハード、ソフト両面から総合的に洪水管理を進めたため、過去と比較して死者数
は減少している。今後の課題は、経済損失の減少である。
○気候風土の状況が類似した地域では経験や知識を共有することが重要。アジアモンスーン
地域では、第3回世界水フォーラム後の2004年に「アジア河川流域機関ネットワーク
(NARBO)」を創設した。NARBOでこのガイドラインを活用し、知識や経験の共有を進め、
統合的水資源管理を促進したい。
○オーストラリアでは、農業開発や都市開発などに伴う水資源開発と管理に取り組んできた。
水質保全など質的な管理も重要課題となっている。統合的水資源管理には、地域ごとに
問題を共有し、住民参加のプロセスを取り入れて進めることが不可欠である。
○国際河川の管理では、地下水だけではなく地表水を含めた水資源について、利害関係者
間で調整するメカニズムを構築することが重要である。